ドイツで審査員の、大役
映画やアニメーションの製作や配給の仕事をしている関係で、映画祭などで審査員としてお招きに預かる事が最近増えています。身の引き締まる思いと共に、数多くの作品や作家に出会える機会で、なんとも嬉しい限り。今回は、ゴーギャンズのプロデューサー(代表)の棗田良成が、ドイツへと乗込んで参りました。
2007年4月26日〜5月1日開催された、The Stuttgart Festival of Animated Film(シュトゥットゥガルト国際アニメーションフェスティバル)。観客4万人以上、プロフェッショナルの参加者1000人以上を集める、ドイツ最大のアニメーション映画祭。このYoung Animation部門コンペティションの審査員を務めさせていただく事になりました。
世界中の学生アニメーション作品を対象とする部門で、まさしく未来の作家を発掘し、世に出るチャンスを与える、重要な役割です。
気合いを入れ、他2名の審査員ー世界を代表するアニメーション作家のAbi Feijo(ポルトガル)とRaimund Krumme(ドイツ)ーと共に、選考58作品の審査に挑みました。
普段から数多くの作品に接しているとはいうものの、世界の学生作品ばかりをこれほどまでに多く、かつ一気に見る機会は、あまり多くはありません。にも関わらず、疲れるどころか見れば見るほどパワーが溢れてくるではないですか! 世界中で育ちつつある、若き才能のエネルギーを感じるからでしょうね。
触発されました!
さて審査会で選んだグランプリは、イスラエルの学生 Ariel BELINCO, Michael FAUST の二人による共同制作「BETON」(写真)。
紛糾するかと思いきや、メンバー全員一致ですんなり決定。シンプルな2Dのドローイングをベースにした3DCGで、ポリティカルなメッセージとアイロニーが絶妙に描かれた作品です。イスラエルと言う複雑な政情の国で生きる若き学生の生み出した作品は、何とも辛辣。「文化・芸術」に関わる仕事をする意味を改めて感じさせてくれる作品でもあり、若手作家に関わる事の多い自分たちとして、今後の彼らへのサポートが何か出来れば、と思える素晴らしい機会となりました。
映画祭とは、まさしく発掘と出会いの場。ということで、地元ドイツ、バーデン・ヴュルテンベルク映画アカデミー関係者から、ちょっとした相談を受けました。
バーデンと言えば、オスカー受賞作を含め優秀な作品・作家を数多く輩出している、ドイツの名門。GauguinsオリジナルプロジェクトのopenArtとも関わりは長く、「ヘッドレス」や「DOWN」等、作品・作家ともども交流が活発。またプログラムを提供している第2日本テレビの「シネマコンプレックス」にても、たくさんの作品を配信中です。
で、どんな相談かと言えば…。この学校の生徒が、日本でなんとしてもインターンとして経験を積みたい、とのことなのです。
実はよくこの種の相談を、私たちは受けます。日本では一般的でないものの、多くのヨーロッパの大学では幅広い経験を培うため、在学中の一年間を海外研修にあてることをを奨励しているのです。
レベルの高いバーデンの学生である彼・llijaは、一方でプロのアニメーションスタジオでも働いており、しっかりしたスキルを備えたいわゆるセミプロ。もちろん映画祭にも彼の作品はノミネートされていて、実力は十分。加えて日本語も勉強中という熱心で真摯な彼のリクエストに、何とか力になれればと未来に向けた様々な話を、可能な限りとっぷりとすることに。
日本の状況は決して楽ではないし、彼の希望が形になるかまだわからないけれども、それでも是非とも来年は東京で会おうね、と約束をして別れました。
映画祭に来ると、ガッツのある未来の才能にたくさん出会うことができるんだよね。
極めて多忙な中の、お祭り。そして審査員。
エネルギー充填、させていただきました。
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