「スケッチ オブ ミャーク」ロカルノ国際映画祭コンペイン
日本に、まだこんな世界が残っていたなんて。
沖縄諸島の小さな島、宮古島。そこにあるのは美しい青空と海だけじゃない。
神様がそこいらを普通に歩いていて、島に住む人は神々と振動を交わし合いながら生きている。ごく自然にだ。
ずーっとずーっと大昔は、日本中そうだったはずだ。でも全部捨ててきた。風の声を聞くことも、死んだ家族とずっと暮らすことも、ぜんぶ何処かに捨ててきた。もう何処にも残っていないんだって思ってた。ところが。
音楽家の久保田麻琴さんが発見した、宮古の音楽。そして生活。沖縄の音楽は今はもう有名だけれど、宮古はいろいろ特別なんだって、この映画を見ればよくわかる。遠い島に何度か渡りながら、神々への音楽と、神々と暮らす普通の人々の姿と、彼は邂逅してきた。その姿を、大西功一監督がつぶさに追った。
日常的過ぎて、その特別な意味を自分たちさえも気づいていなかった宮古の、世界で最も神々に近い不思議な音楽を、麻琴さんは東京へ、そして世界へと案内し、私たちに気づかせてくれたのだ。もう日本の音楽じゃなくて、その声はきっとアフリカか、南極か、もっと空の上のなにかと響き合っている。とても不思議な体験だ。
ここ最近、特にいろいろお世話になってる久保田麻琴さんから 、出来たてのこの映画を見せてもらったのは震災の直後だった。
壊れていく我が国・日本の日常を目の当たりにしながらこの映画を見て、自分らが何処で間違ってしまったのかを、 見えない神々から優しく諭されているようにも感じ、涙があふれた。
ロカルノ国際映画祭は、インディペンデント映画の世界への玄関口だ。どんなに異質で辺境の作品であろうとも、世界が見る価値がある、というものには積極的にスポットライトを浴びせる強い意志を持つ。沖縄とも、東京とも、ましてや西欧社会とも、大きくことなるこの島の響きが聞くには、もってこいの映画祭なのだ。私事だが日本代表部を担当するなど、自分が一番深く関わってきたこの映画祭でこの作品が選ばれて、嬉しくて誇らしくて仕方がない。
ロカルノという世界四大映画祭にセレクトされ、 すでに世界各国の映画祭から問い合わせが殺到している。宮古を全く知らない遠い国の、文化も違う人達がこの作品を見たらどう思うだろうか。きっとその土地の、その歴史の、遠い昔に捨ててしまった大切なものたちを思い返して、心のなかでそれを育てようと決心するに違いない。
「スケッチ・オブ・ミャーク」長編ドキュメンタリー映画
監督:大西功一 プロデュース:大西功一、久保田麻琴
ロカルノ国際映画祭 2011年8月3日〜13日 スイス・ロカルノ市
スケッチ・オブ・ミャーク
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